任期満了に伴うさいたま市長選挙は5月23日に投開票され、無所属現職の清水勇人氏(59)が21万6768票(得票率71.5%過去最多得票・得票率)を獲得、無所属の新人で前回に続き2度目の挑戦となる、日本共産党の全面支持を受けた団体役員の前島英男氏(68)を大差で退けて、4選を果たしました。
清水氏は公明党の支持、自由民主党・立憲民主党の「友情支援」を受け、無党派層にも浸透して全市的な幅広い支持を得ました。まん延防止措置対象期間ながら、市長としての政務をほぼ平常通りこなし、安定した戦いを展開、圧勝しました。
清水氏は戸田市生まれ、日本大学法学部卒。土屋品子衆院議員(自民党)秘書を経て、埼玉県議(自民党)を2期務めました。2009年さいたま市長選に初当選、4期目の任期は5月27日から4年間です。
清水氏は初出馬の時点で、当時の民主党ブームに乗り、現職の相川宗一氏を破っての市長就任とあって、長らく自民党には“遺恨”が残っていましたが、2期目から“市民党”を標榜して“民主党色”を払しょく、自民党市議内に共感者が増えて、ついに会派が二分されました。
今回選挙における自民党「友情支援」の決定打となったのは、この2月議会本会議における自民党市議団萩原章弘議員の質問にたいし、「私は、県会議員の時には自由民主党所属だった」「特に、政権与党である自由民主党、公明党の皆さんなどからご協力・応援を頂いて様々な施策を実現できた」との自民党及び公明党を強く意識しての答弁を行ったことです。
これによって、自民党・公明党の清水氏支持体制が盤石となり、自民党市議も各区で心置きなく清水氏の選挙活動に協力出来ました。
自民・公明両党にとっては、12年がかりで「清水氏を民主党から取り戻す」市長選挙であったと言えるでしょう。
前島氏は、前回出馬以降4年間での活動と知名度を生かしきれず、共産党以外への支持の広がりに欠けました。
しかしながら得票数を前回より3万2433票上乗せして8万6千票集めたことは、本市の共産党にとっては大きな弾みとなり、年内に行われる総選挙において、市内の1区・5区・15区における立憲民主党との、いわゆる野党共闘が同党ペースで進められることが予想されます。
また、各区での得票数から、令和5(2023)年に迫った第20回統一地方選挙において、同党の空白区である大宮区・西区・岩槻区での議席獲得の可能性により、全10区での議席確保が視野に入ってきたことから、同区現職市議の選挙戦略の練り直しが行われることでしょう。
今回のさいたま市長選挙は、蔓延防止措置期間中の2人だけでの選挙戦ということで盛り上がりに欠けましたが、今年の総選挙や次の市議会議員選挙に大きな影響を与える重要な選挙となりました。