●宇都宮市から日本とイランをつなぐ!

中東の国イラン。埼玉県には様々な出身地の外国人が住んでいますが、中でもイラン人の人口ランキングは全国5位の約500人。そこで今回は、埼玉県を飛び出し、餃子の町・宇都宮市を拠点にイランと日本全国を文化と経済でつなぐ団体について紹介します。

一般社団法人日本イラン協会・代表理事
カゼミ・モハンマッドホセインさん(宇都宮市在住)
略歴:栃木県内でペルシャ家庭料理CASPIANや、ペルシャ絨毯・雑貨の輸入販売業、通訳ボランティアなどを務めた。平成29年に同団体の前身である「日本イラン友好協会」の専務理事を務め、令和4年、同協会を設立。

「日本で培った人の輪をつかって、日本とイランの友好をもっと深めたい」と話すのは、栃木県宇都宮市を拠点に活動する日本イラン協会・代表理事のカゼミさん。

カゼミさんは、約30年前に来日し、以降、ペルシャ絨毯などの貿易事業や栃木県警などの通訳を手がけた中で得た人脈を基に、一般社団法人日本イラン協会を立ち上げました。

立ち上げ当初は、栃木県内での活動を予定していましたが、現在は、日本全国に目を向け、交流文化事業と日本企業とイラン企業をつなぐ経済支援事業を行っています。

ちなみに、カゼミさんは、安倍元総理が宇都宮市を訪問した際(第一次政権時代)、イランとの友好関係について語り合ったのだとか!

安倍元総理とカゼミ代表理事

交流文化事業

宇都宮市国際交流協会主催の国際交流イベントに参加し、イランの歴史や風土などについて講演を行ってきました。

講演の中で、「イランは『中東にある石油の国』というイメージから、砂漠の国だと思われていますが、北は秋田県、南は沖縄県とほぼ同緯度にあり、日本のような四季もあります。そのため、春は桜、夏は青々とした田園、秋は紅葉、冬は白銀世界が広がっています」と紹介すると、講演会参加者からは、毎回、「イランがこれほど自然豊かだと思わなかった」と驚きの声が上がっています。

宇都宮市国際交流協会主催の交流イベントの様子

そのほか、海外の高校生・大学生を日本に招へいし、最先端な科学技術や文化に触れてもらうことを目的とした、科学技術振興機構主催の「さくらサイエンスプログラム」へのイラン学生の参加も日本イラン協会が主導して進めていました。

しかし、昨年、多くのイラン女子学生が被害に遭った事件など、国内の不安定な情勢が原因で、残念ながら計画中断に追い込まれてしまいました。

カゼミ代表理事は、「短期間でもイランの高校生・大学生に、自分の目で日本を見る機会を作りたい。それが、彼らがイランに帰った後、今度は自分の意思で日本に留学や就職をするきっかけとなり、日本とイランの友好の一助になれたら幸せです」と語り、情勢に負けず、今後も挑戦し続ける予定です。

経済支援事業

イラン国内では、日本製の高品質な医療器具への需要が高い一方、日本製を偽る粗悪品が市場に出回ったり、イランマフィアによって不当に値段がつり上げられたりするなど、供給ルートへの改革が課題となっています。

そこで、日本イラン協会では、日本製を輸入したいイラン企業と、イランに輸出したい日本企業のマッチングを行っています。現在、医療器具メーカー(本社:栃木県)、医用電子機器メーカー(本社:東京都)などと、イランへの販売ルートの確保に向け、協議が進められています。

ところが、欧米によるイランへの経済制裁が同事業へのボトルネックとなり、新たな販路の確保に向けて日本企業側に依頼しても、辞退してしまう企業も多く、困難な壁が立ちはだかっています。

同事業の現状について、カゼミ代表理事は、「医療器具以外にも化粧品や中古車など、高品質な日本製品はイラン国内で需要が高いです。しかし、欧米による経済制裁の影響で、制裁対象となる分野以外でも世間の顔色をうかがって二の足を踏んでしまう企業が多いことが残念です」と課題を示し、「どうか、イランの需要を直接見て、判断してほしい」と呼びかけました。

最後に、カゼミ代表理事から・・・

埼玉県のイラン人の人口は栃木県より多いですが、当協会が行っているような文化交流の活動はあまり耳にしないため、埼玉県では、イラン人と交流する機会が少ないのかもしれません。しかし、ぜひイランに興味をもって、隣人のイラン人との友好を深めていってほしいです。

一般社団法人日本イラン協会

住所:栃木県宇都宮市馬場通り4-2-4田中ビル2階

URL:https://japaniran.jp

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この記事を書いた人

川田朱里のアバター 川田朱里 県民公論 国際担当

趣味はランニング。
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