★【多文化交流】ロシアから多文化発信へ!

さいたま市を拠点に、ロシア文化ワークショップやウクライナ支援募金などを行っている「”KALINKA”ロシアの親子会」及び同会代表の活動についてご紹介します。

“KALINKA”ロシアの親子会
代表 塚田タチヤナさん(さいたま市在住)
経歴:ロシアのエカテリンブルグ(中央部の大都市)出身。日本人男性との結婚を期に、約20年前に来日。3児の母。英語教師として7年勤務。愛称は「ターニャさん」

● ロシア人ってどんな人?

みなさんはロシア人というと、どのようなイメージを持たれるでしょうか。タチヤナさんは、「ロシア人はとても人なつこく、支え合いの意識が強いとても温かい人たち」と語ります。実際にイメージしやすいように、タチヤナさんが今年、ロシアに帰国した際に感じたロシア人の温かさについてこんなエピソードを紹介してくれました。

「私がロシアからベラルーシ(ロシア西部の隣国)の友人へ郵便物を送ろうとすると、ちょうど国際線が止まっており、荷物を送ることができませんでした。私は帰国直前だったため、国際線の再開まで待つことができず困惑していると、郵便局の担当者が、『国際線が動き出したら私の名前であなたの代わりに出しておいてあげますよ』と、私の荷物を引き受けてくれました。日本ではルールを破ることは考えられませんが、ときにはルールを破ってでも融通を利かせて助けてくれるロシア人の暖かさに触れた出来事でした」

ロシアは、昔から「お互いに助け合って生きる」という気持ちが強い国です。日々の暮らしが厳しくても、なんとか助け合って楽しく生きようとする姿勢に対し、タチヤナさんは「これこそがロシアの財産なのだ」と感じています。

● ロシアの文化発信活動の始まり

タチヤナさんは持ち前の英語力をいかし、来日当初、地域の英会話クラブのボランティアを務めました。その後、英会話講師として7年間勤務しました。

ロシアの文化発信活動は、地域の近隣の人からの「ロシアのお惣菜パンのピロシキを作ってほしい!」とのひと言から始まりました。今ではもうプロ並みの腕前のタチヤナさんですが、実はロシアにいた頃はピロシキを作ったことはなく、この要望に応えるため、はじめは試行錯誤して作っていたそうです。一つリクエストに応えると、今後は、「ロシアの民族舞踊『カリンカ』を披露してほしい!」との声も上がりました。今後は『カリンカ』の伝統衣装を一から裁縫して作り、一緒に踊る仲間を集めて練習しました。このようにタチヤナさんの周りの人々からのリクエストに応えているうちに今の団体の原型ができあがり、有名なロシア民謡の名前『カリンカ(ロシア語:Калинка)』を使って「“KALINKA”ロシアの親子会」と命名しました。

さいたま市見沼区の老人ホームで開催されたチャリティーコンサートで民族舞踊カリンカを披露

● 国際交流活動

「“KALINKA”ロシアの親子会」では、埼玉県内の各市の国際交流協会が主催するイベントでの出店などをメインで行っています。

また、タチヤナさんは、個人でも、さいたま市国際交流センターで開催された語学講座「短期ロシア語(入門)」の講師や、日本ユーラシア協会(浦和支部、所在地:さいたま市南区)のロシア語講座の講師を務めました。

さらに、地域の小学校などから依頼を受け、3年間で90校以上の学校においてロシア文化紹介や料理教室を組み合わせたワークショップを実施しました。

「ロシア講座」を開催した小学校から届いたお礼の手紙
料理教室の様子

● ウクライナ侵攻を受けて・・・

「私は、以前まで、世界のどこかしらで起きている紛争を他人事に感じていましたが、今回のウクライナ侵攻は、母国が当事者となり非常にショックでした。ロシア文化の紹介をする際もロシア人として顔を出すのも恥ずかしく思うこともありました。しかし、日本人の友人に『ターニャ、あなたはとてもいい人だから大丈夫よ。ロシア人が本当は暖かいということを知らせてあげて』との言葉をかけられ、勇気づけられました。私は、ロシア人として、そしてロシアにもウクライナにも親戚がいる身として、何もせずにはいられませんでした」

「それ以降、ウクライナで大変な目にあった友人たちの生活の足しにしてほしいと思い、募金活動を始めました。同活動では、ロシアの民芸品であるマトリョーシカなどを販売し、その売上金をウクライナで避難している友人や同じ避難所の人々が厳しい冬を越せるよう、発電機の購入代として寄付をしました。そして、このような支援活動は、私一人の力でできたものではありません。周りの友人や、一緒に活動する仲間には本当に感謝しています」

多国籍メンバーで活動する”KALINKA”

● 最後に

最近では、アメリカ人、カナダ人、ハンガリー人、韓国3世のキルギス人など多彩なバックグラウンドもつメンバーが加わり、「ガンビア友の会」(本部:さいたま市大宮区)と共同で、西アフリカの国ガンビアの子どもたちの教育支援のための募金活動などもしています。

今後は、ロシアだけにこだわらず、新体制の“KALINKA”として、国際色豊かな活動を増やしていきたいと考えています。

“KALINKA”ロシアの親子会

公益財団法人埼玉県国際交流協会・彩の国さいたま国際交流・協力ネットワーク参加団体

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この記事を書いた人

川田朱里のアバター 川田朱里 県民公論 国際担当

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