日本では新年を毎年1月1日〜3日にお祝いしていますが、ベトナムでは、旧正月に祝うのが習わしとなっています。ベトナム語で旧正月は「テト」と呼ばれますが、旧正月は、太陰暦に基づいて決められるため、毎年日付が変わり、2025年は1月29日でした。
さいたま市では、今年、一般社団法人在さいたまベトナム協会(事務所:蕨市)の主催のもと、鐘塚公園(ソニックシティ前広場)にて、テト祭りが初めて開催されました。

まずは華やかなゲートでお出迎えです!
ベトナムの旧正月ではお花を飾ることが一般的ですが、飾る花の種類は南部では黄梅、北部では桃の花と、地域によって異なるようです。今回は、入り口には南北それぞれのお花が飾られていました。

ベトナムの伝統衣装「アオザイ(アオ:長い、ザイ:上衣という意味)」を身にまとった女性と主催者、来賓の方々によるオープニングで始まりました。今回、大宮区での旧正月のイベントの初開催を記念し、ファム・クアン・ヒエウ駐日ベトナム大使らが来場され、会場内も視察されました。


テト祭りの体験ブースでは、書き初め、ベトナムのお茶文化体験、アオザイ試着など様々なイベントが用意され、中でも伝統料理バインチュン(Bánh chưng。ベトナム版ちまき)作り大会は大盛り上がりでした。ベトナム人の子どもたちの中には初めてバインチュンを見る子もいたようで、一緒に参加した人に教わりながら作っていました。このようにして、母国を離れても、伝統文化は継承されて行くのですね!


出店ブースには、埼玉県や東京都のベトナム料理レストランが所狭しと出店し、フォーやバインミーなどのベトナム料理が販売されていました。
また、以前取材で訪れたベトナム人技能実習生や留学生の生活を支える大恩寺も、精進料理と書き初めで出店しており、ティック・タム・チー住職の書き初めをもらうため、長蛇の列ができていました。


「今回、初めて在さいたまベトナム協会が主催となって、駐日ベトナム大使館各関係者だけでなく、埼玉県庁をはじめたくさんの日本の方々の協力を得てテト祭りを開催できたことが大変嬉しいです。大宮駅という人の往来が多い中心地で、多くの日本人の方々にもベトナム文化を紹介でき、国籍を超えて皆で楽しめるイベントを開催できたと思います」(ティック・タム・チー大恩寺住職)

「鐘塚公園のような広い場所でイベントを開催するのは簡単ではありません。ここでテト祭りを開催するまでに、周辺住民の理解や騒音対策など、取り組むべき課題はたくさんあり、使用許可を得るまで4年かかりました。今回、多くのベトナム人や日本人の協力を得て、初めて開催するに至りましたが、結果、ベトナム人だけでなく、たまたま通りかかったという日本人のお客さんも多く訪問してくれて大変喜ばしく思います。
テト祭りについては、駐日ベトナム大使館からも、『日本人とベトナム人がもっと仲良くなり、結びつきを強めてほしい』と後押しされていたこともあり、埼玉県に住むベトナム人を応援するために、今回、駐日ベトナム大使が訪れてくれました。ヒエウ大使からは、『ベトナムの伝統文化を体験できるテト祭りは今までなく、ベトナム文化を紹介する機会が少なかったため、ぜひ今後も毎年開催してほしい』とのコメントをいただきました。当協会もその方針であり、これからは、大宮区の毎年の恒例行事にしていきたいです」(ファム・ディン・ツォン・一般社団法人在さいたまベトナム協会会長)
ベトナム人はさいたま市内に約2,500人、埼玉県全体では、約4万人が居住しており、そのうちの多くが技能実習生や特定技能の在留資格で滞在し、産業を支えています。中には借金をして来日するベトナム人もおり、新年だからといって簡単に母国に変えることができない人もいます。
そんな彼らが、一時、ベトナム文化に浸って母国に思いを馳せることができ、私達日本人も、ベトナム文化を学び、お互いに理解を深め合えるイベントとなっていくよう、見守っていきましょう!
●主催:一般社団法人在さいたまベトナム協会
住所:埼玉県蕨市塚越1-2-14花見ビル5階
URL:VAS – Hiệp hội người Việt Nam tại Saitama
●開催場所:鐘塚公園
住所:大宮区桜木町1-7-8(JR大宮駅西口下車 徒歩5分)