🔵福島第一原発 現場レポート

【県民公論社SDGs推進局】2022年7月1日、福島第一原子力発電所に訪れ、廃炉作業を視察した。ここで注目したのは、汚染水を処理水に変える技術。その安全性を確認するためにその技術を大まかに紹介したい。

福島第一原発の現状と、安全対策についての座学

汚染水の浄化と管理

廃炉作業で厄介なのは、燃料デブリ(溶けた核燃料に含まれる核分裂生成物から崩壊熱が発生)を冷やすために建屋の外から、事故から現在に至るまで注水を継続している。水が燃料デブリに触れることで、高濃度の汚染水となる。これを先ずは、セシウム吸着装置で人体に非常に影響のある核物質であるセシウムとストロンチウム取り除き、その浄化した水は腐食を防ぐために、淡水化装置に送り込み塩分を除去する(塩分が含まれている理由は、11年前の事故直後に消防車で海水を建屋の外から注水し冷却作業を実施したためである)。

淡水化された水は注水タンクに保管され、再び建屋の外部からその水を注水する。これを循環注水冷却と称し、1日当たり約200㎥循環させているが、外から水が流入(130トン/日)している。流入の経路は二つある。一つ目は、建屋の屋根の壊れによる雨水の浸入で、二つ目は、豊富な地下水が、11年前の事故で歪んだケーブルや配管貫通部の隙間から流入である。それらの水は、当然、汚染水になるため多核種除去設備(通称:ALPS)で浄化され、ALPS処理水として1,000基以上の貯蔵タンクに貯め続けているのが現状である。因みにALPS処理水とは、トリチウムを除く(人体に非常に影響のある)62核種の大部分を除去した水を指す。トリチウムだけ取り除くことができない理由は、トリチウムは水素の仲間であり酸素と結びついて水になるが、分子構造が水と同じで、水と水を分ける技術が存在しないからである。(※東京電力としては、この技術を成せる業者を世界から募集し2、3社選考入りしたが、実用化の目処は今のところ立てられない状況である。)

ALPS処理水を貯蔵する1,000基以上のタンクが存在することを述べたが、この根源となる地下水の流入を減らす対策もなされている。

  • サブドレイン(建屋近傍の井戸)で地下水の汲み上げ。
  • 建屋よりも高い位置(35m)に地下バイパスを設け、サブドレインの手前で汲み上げ。
  • 凍土方式で陸側遮水壁を設置。原発1号機から4号機の周囲1,500mに、1m間隔で凍結管を地下30mに埋め込んだ上、-30℃の冷媒を流し込むことで、氷の遮水壁となり、高台側からの地下水が流入しないよう振り分ける方式。

以上、三つの代表的な対策を実施している。これらの対策は功を奏し、汚染水発生量が低減したことを証明する数値を紹介すると、2014年度は400~500トン前後の汚染水が発生していたが、2021年度は130トンにまで減少した。そして、2025年度の目標は、コンクリートで地面を覆う等を行い、100トンにまで低減させる対策を続けている。

福島第一原発施設を目前にしての視察

 

ALPS処理水の海洋放出の準備

増え続けるALPS処理水の海洋放出については、2021年4月13日に国の方針として決定されたが、東京電力としては「福島の皆さんにしっかりとした説明をし、ご納得頂いた上で、ALPS処理水の海洋放出を始める」こととしており、今(2022年7月1日の取材時)は海洋放出の準備段階である。海洋放出の基準は、海水でALPS処理水を薄め1リットル当たり1,500ベクレル未満としている。その根拠は、サブドレイン(建屋近傍の井戸)から汲み上げた水をサブドレイン浄化設備通し、東京電力と第三者機関でそれを分析・確認した上で、「トリチウムが1リットル当たり1,500ベクレル未満の値」を漁業関係者と合意し、2015年からから実施している。

こうしたことを背景に2022年9月30日より、「海水」と「ALPS処理水を含む海水」の双方の環境下でヒラメに加え、アワビ、海藻類のアオサ・ホンダワラの飼育試験での実証を現在も続けていることは安全性を証明する裏付けである。

2023年8月27日 文責:県民公論社 西森勢

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西森勢のアバター 西森勢 県民公論 国際局長

これまでの渡航先は中国・香港・台湾・ラオスの四か国地域ですが、これを機に世界をウオッチしたいと思います。

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